ニンニクが持つ疲労回復の作用は、数千年前から知られていました。古代エジプトでは、ピラミッドの建設に当たった労働者たちが、ニンニクを食べて疲労を回復したと伝えられています。エジプトに限らず、ヨーロッパや中国、韓国、日本でも、古くから滋養強壮のための食品として、あるいは香辛料として食されてきました。
ニンニクは独特のにおいを放ちますが、その元になっているのがアリシンという成分です。この成分が体内のビタミンB1と結合することにより、活性持続性ビタミンのアリチアミンとなり、疲労回復や滋養強壮の作用を発揮します。つまり、においの元となる成分こそが、ニンニクの“薬効”の源となっているわけです。
アリシンには、胃の粘膜を刺激して胃液の分泌を促すことにより、消化を促進する作用もあります。このため、夏バテの解消などに効果が期待できます。このほかにもアリシンは、抗菌・殺菌作用や、抗血栓作用、インスリン分泌促進作用、降圧作用、血中コレステロール値の低下作用など、様々な効用を持つことが知られています。また、アリシンは強力な抗酸化作用も有するため、がんの予防に効果がある食品としても期待されています。
このように健康に良いからといって、ニンニクを大量に摂取するのはお勧めできません。ニンニクは刺激が強く、食べ過ぎると胃の粘膜を荒らしてしまうからです。便秘や下痢の原因になる可能性もあります。生のニンニクは、より刺激が強いので、1日1片をメドに接種するのがいいでしょう。加熱する場合も、1日3片程度にとどめるのがお勧めです。ニンニクを食生活に上手に取り入れることによって、残暑の季節も乗り切っていきましょう。
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